一般社団法人コ・イノベーション研究所(本社:東京都墨田区、代表理事:橋本大佑)は、「地域コミュニティ」x「共生社会」x「パラスポーツ」をテーマとしたセミナーを、2018年12月5日(水)18時30分より、日本財団ビル二階大会議室(東京都港区)にて開催いたします。

COILセミナーvol.18 ホルスト・ストローケンデル博士追悼セミナー
『地域コミュニティからスポーツで共生社会をつくる』
~スポーツを通じた障害者の社会参加促進~

東京2020まで2年を切り、パラスポーツへの取り組みをさらに加速する必要があります。パラリンピックを通して社会の関心が競技スポーツやユニバーサルデザインに対して高まるこの時期に、地域コミュニティでの障害児・者のスポーツ機会創出に向けての関心を高めることは、障害児・者の社会参加を促進するために重要です。

そこで、「地域コミュニティにおけるスポーツ機会の創出が障害者の社会参加の促進にどういった意味を持つのか」「障害者スポーツの推進の現状と課題はどうなっているのか」ということをテーマに、企業や個人が2020年以降も継続して新たなパラスポーツへの取り組み方や関わり方についてともに考える機会とすることを目的に開催するセミナーです。

また、このセミナーでは、車いすバスケットボールのクラス分けの基礎を考案し、パラスポーツに大きな影響を与え、さらにドイツで50年にわたり地域コミュニティでのスポーツ普及に取り組んだ当研究所名誉顧問であった故ストローケンデル博士の理念や取り組みを紹介し、故人の追悼イベントとして開催いたします。

<開催概要>

【日時】2018年12月5日(水)18時30分~20時15分(開場16時30分・上映会17時)
※本セミナーの参加者には故ストローケンデル博士が生前に実施した車いすスポーツ講習会のDVDをお渡しします。17時~18時10分にセミナーに先立ち、解説を交えたDVDの上映会を行います。そのため、開場は16時30分を予定しています。セミナーに参加される方は上映会にも無償で参加いただけます。上映会中は途中入場も可能ですので、早めにご参加いただける方は是非ご調整ください。

【会場】日本財団ビル二階大会議室
【主催】一般社団法人コ・イノベーション研究所
【後援】一般社団法人日本車いすバスケットボール連盟
    ドイツ障害者スポーツ連盟・パラリンピック委員会
    ドイツ車いすスポーツ連盟
【協力】公益社団法人日本フィランソロピー協会
【定員】100名(先着順)
【ゲスト講師】
    金田 安正 (びわこ成蹊スポーツ大学名誉教授)
    澁谷 茂樹(公益財団法人笹川スポーツ財団 スポーツ政策研究所主席研究員/経営企画グループ長)
【講師兼ファシリテーター】
    橋本 大佑(一般社団法人コ・イノベーション研究所)
【参加費】前売 3,240円(税込)/当日参加 4,000円(税込)
※介助者の方は無料です。

※参加費には、故人が2015年9月22日に実施した車いすスポーツ講習会の映像を元に作成するDVD代(販売価格3,240円予定)、本年3月に故人が来日した際に作成した記念小冊子代「ストローケンデル博士に学ぶスポーツと障害者の社会参加(A5判、全51頁)」(販売価格540円)も含まれています。

<セミナーの流れ>
17:00-18:10 上映会
解説 橋本 大佑(一般社団法人コ・イノベーション研究所代表理事)
本セミナー参加者の方にお渡しするDVDの上映会を解説付きで行います。
DVDには、故人が2015年に実施した講習会の映像が収録されています。

18:30-18:35 開会
18:35-18:50 第一部 スポーツを通じた障害者の社会参加について(故人の理念・取り組みの紹介)
18:50-20:00 第二部 講演
基調講演①『障害者の社会参加の促進にスポーツが果たす役割・意義』
講師 金田 安正(びわこ成蹊スポーツ大学名誉教授)
基調講演②『生涯スポーツとしての障害者スポーツの普及の現状と今後』
講師 澁谷 茂樹(公益財団法人笹川スポーツ財団 スポーツ政策研究所主席研究員/経営企画グループ長)
講演『障害児・者へのスポーツ普及による地域コミュニティ形成と社会参加促進~ストローケンデル先生の取り組みを踏まえて~』
講師 橋本 大佑(一般社団法人コ・イノベーション研究所代表理事)

20:00-20:15合同質疑・閉会

<講師紹介>
金田 安正(びわこ成蹊スポーツ大学名誉教授)

早稲田大学卒業後ケルンスポーツ大学(西ドイツ)に留学し、故人とともに障害者スポーツを学ぶ。帰国後は国立障害者リハビリテーションセンター病院/更生訓練所に約20年勤務。1991年から同センター学院で、障害者のリハビリテーション過程において、スポーツをとおした機能訓練を行う専門家の養成指導に携わる。
2003年よりびわこ成蹊スポーツ大学が新設され、教授(専門:障害者
スポーツ)を務める。大学を退官後は、2014年より富山市で児童デイサービス アクティブライフ・スポーツ教室を開所。代表を務める。

澁谷 茂樹(笹川スポーツ財団 スポーツ政策研究所主席研究員/経営企画グループ長)

1997年東京大学大学院総合文化研究科生命環境科学系 修士課程修了、1998年同博士課程中退。1998年より、笹川スポーツ財団で「スポーツ白書」「スポーツライフ・データ」「諸外国のスポーツ振興政策についての調査研究」など、各種調査や刊行物の編集に携わる。2017年4月より現職。

<講師兼ファシリテーター紹介>
橋本 大佑(一般社団法人コ・イノベーション研究所 代表理事/ドイツ障害者スポーツ協会公認リハビリテーションスポーツ指導者B)

筑波大学で障害児教育を学んだ後、渡独。日系企業に勤めながらこじnに師事し、リハビリテーションスポーツ指導者資格(車いすスポーツ)を取得。2009年に日本に帰国した後、2013年に独立。2016年、一般社団法人コ・イノベーション研究所を設立し、代表理事に就任。スポーツを通じた障害者の社会参加促進に取り組み、国内外で障害者スポーツの指導法や、障害理解に関する講師を務める。

<故ストローケンデル博士の紹介>

ホルスト・ストローケンデル博士(1941年12月8日~2018年8月19日 享年76歳)
ケルン大学名誉教授/一般社団法人コ・イノベーション研究所名誉顧問

1980年代前半に執筆した「車いすスポーツのための機能的なクラス分け」という博士論文が車いすバスケットボールの基礎となり、今日のパラリンピックにも大きな影響を与えた。ドイツの車いすバスケットボール代表チームのヘッドコーチを長く務め、国際車いすバスケットボール連盟技術顧問、国際ストーク・マンデビル車椅子スポーツ連盟役員などを歴任するなど国際舞台で活躍するとともに、ドイツ国内では車いすスポーツ指導者の養成に取り組み、ドイツ国内に300以上車いすスポーツの地域クラブが設立される下地を作った。2006年にケルン大学を退職してからも精力的に世界各国で指導者養成講習や講演を行った(日本には計14回来日)。ドイツでは「車いすスポーツの父(教皇)」と呼ばれ親しまれていた。

<今回のセミナーのテーマにある背景>

●障害者スポーツの分類には「3つ目のスポーツ」がある

一般的なスポーツは、心身の健康の維持・増進のために行う「余暇スポーツ」と、特定の目的のためにその範囲を越えて行う「競技スポーツ」に分類されます。

しかし、障害者スポーツには「障害者の社会参加を促進するためにツールとして活用するリハビリテーションスポーツ」という3つ目の分類があります。リハビリテーションスポーツには身体訓練として行われる医療における取り組みだけではなく、退院後の孤立を予防し、更なる社会参加を促すための心理的な変化をもたらすことを目的とした地域での取り組みがあます。健康保険の適用範囲が限定され、中途障害者のリハビリテーション期間が短縮された現在では、退院後の孤立が大きな課題となっており、病院と地域の間を埋めるツールとしてこの地域でのリハビリテーションスポーツが重要度を増しています。

●「競技スポーツ」の啓蒙は、障害者スポーツ人口の獲得にはつながらない

2011年のワールドカップで女子サッカーのなでしこジャパンが優勝したことがきっかけで、女子のサッカー人口が増加したことはよく知られています。国際的な「成果」によって「メディアによる広報」が促進します。その結果として競技の知名度が上がり、「競技人口が増え(普及)」、それが将来的な「強化」につながり、さらなる「成果」をもたらす、というように競技スポーツの発展には
「成果」⇒「広報」⇒「普及」⇒「強化」⇒「成果」という正のスパイラルモデルがあります。

しかし、これは障害者スポーツには当てはまりません。パラリンピックでメダルを取った競技や近年のオリパラブームで大きく取り上げられた競技で、大きく競技人口が増えているという話はほとんどありません。また、実際にパラスポーツとして知られるパラリンピック競技種目が実施できる障害者は、障害者全体の一部でしかなく、我々がオリンピック選手を見て「スポーツがしたい!」と思わないように、多くの障害者もパラリンピック選手を見て「スポーツがしたい!」と思わないことはロンドンパラリンピック以降に行われた障害当事者向けの調査でも明らかになっています。
(ロンドン大会実施後にイギリスで1014名の障害当事者を対象に行われた調査ではパラリンピックを見て「スポーツをしたい!」と動機付けされた人は約10%にとどまりました)

これは障害者スポーツにおいては、「こういう競技がある」ということを知った後、実際に「やってみる」までに多くのハードルがあるためです。そしてそのハードルを解消して継続的なスポーツ実施を促すために必要なものこそが「リハビリテーションスポーツ」と言えます。そのため、地域におけるリハビリテーションスポーツとは、これから継続的なスポーツ活動(余暇スポーツ)を行う方を対象としたスポーツの導入支援とも言えます。こういった活動を促進し、障害者のスポーツ普及を促進するための阻害要因としては、制度のバリア、施設における物理的なバリア、参加できる種目がわからないという情報のバリア、そして障害に応じた指導ができる指導者の不足などさまざまな要因があります。

●地域スポーツへの参加が孤立を防止し、さらなる社会参加につながる

しかし、このような障害者スポーツの効用はまだ広くしられていません。まずは「多くの方が障害者スポーツの新たな可能性について知り、興味・関心を持ち、まずはできる範囲からの取り組みを始める」、そういった活動を積み重ねていくことが地域における障害児・者へのスポーツ機会を増やし、スポーツへの参加を社会参加度の向上につながっていきます。そして、それは共生社会の実現に向けたスポーツを活用した事例と言えます。このセミナーでは、競技スポーツだけではなく、地域コミュニティにおけるスポーツ機会の創出など2020年を超えた新たな取り組み方、関わり方について議論を深めます。

<COILセミナー>

コ・イノベーションセミナー(COILセミナー)では、人格と個性を尊重して支え合い、多様性を相互に認め合える「共生社会」を解決すべき社会課題として捉え、多様なステークホルダーを巻き込み、解決につなげることで、社会的な価値だけではなく、経済的な価値を創出することを目的として、専門的な知識を持つゲスト講師の講演や、東京2020に関する最新トピックス、新しい時代における人材開発や組織開発に関するセミナーを実施します。

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