本資料はアストラゼネカ英国本社が2018年8月3日に発信したプレスリリースを日本語に翻訳し、みなさまのご参考に提供するものです。本資料の正式言語は英語であり、その内容・解釈については英語が優先します。
アストラゼネカ(本社:英国ケンブリッジ、最高経営責任者(CEO):パスカル・ソリオ[Pascal Soriot]、以下、アストラゼネカ)およびメルク・アンド・カンパニー(本社:米国ニュージャージー州ケニルワース、以下「メルク(北米以外ではMSD)」)は、2018年8月3日、欧州医薬品庁 (EMA) がMEK 1/2 阻害剤であるセルメチニブに対し神経線維腫症1型 (NF1) 治療薬として希少疾病用医薬品指定を付与したことを発表しました。

NF1は世界中で新生児3,000人中1人が罹患する不治の遺伝子疾患です1,2。NF1に合併する病変や症状の重症度は非常に多様であり、多くは中等度から軽度で、皮膚、神経系、および骨にも発現します。神経線維腫(PNs)は神経鞘から派生し、NF1患者さんの20-50%を占める良性腫瘍であり、その数や腫瘍量が増大するにつれ、疼痛、運動機能障害および変形などの中等度から軽度の病的変異を引き起こします。

アストラゼネカのグローバル医薬品開発担当エグゼクティブバイスプレジデント兼チーフメディカルオフィサーであるSean Bohenは次のように述べました。「生涯続く過酷な病状であるNF1の根治療法はなく、その患者さんにとって現在の治療選択肢は極めて限られています。希少疾病用医薬品指定はNF1患者さんである小児やそのご家族にとって、有益な第一歩となります」。

MSDリサーチラボラトリーズのシニアバイスプレジデント、グローバル臨床開発の責任者兼チーフメディカルオフィサーである Roy Baynes は次のように述べました。「NF1は比較的希少な疾病ですが、患者さんにとって生命を脅かす合併症につながる可能性があります。このことにより、この遺伝性疾患に罹患している患者さんを助けるためのMSDと当社のパートナーであるアストラゼネカの協働の重要性が強調されます」。

NF1におけるセルメチニブの潜在的ベネフィットは手術不能のNF1関連PNsの小児患者さんを対象に第I/II SPRINT試験において検証されています。結果の一部は最近、シカゴで開催された2018年米国臨床腫瘍学会において米国がん研究所の治験担当医らにより発表されました。結果の全容は2018年末までに発表されると予想されます。

希少疾病用医薬品指定とは希少疾病の治療を意図した医薬品に付与されるステータスです。EMAによる本指定を受けるためには、欧州連合において10,000人に最大5人が罹患する重度に消耗性かつ生命を脅かす疾患の治療、予防あるいは診断を意図する医薬品でなければなりません。更に、それを意図する医薬品はその疾患の患者さんに対し有意なベネフィットの提供を目的としていなければなりません。希少疾病用医薬品指定はEMAの医薬品委員会の肯定的見解を受けて協議されます。セルメチニブは2018年2月に米国食品医薬品局(FDA)によりNF1の治療薬として、希少疾病用医薬品指定(ODD)を付与されています。

以上

*****

セルメチニブについて
セルメチニブは2003年にArray BioPharma Inc.からアストラゼネカに導出された開発中のMEK 1/2阻害剤です。2017年、アストラゼネカと米国ニュージャージー州ケニルワースに本社を置くメルク・アンド・カンパニーは、セルメチニブの共同開発・共同商業化契約を締結しました。

NF1遺伝子は、RAS/MAPK情報伝達経路を負に制御するニューロフィブロミンと呼ばれるタンパクを生成するよう指示を出し、細胞の増殖、分化および生存に寄与します。NF1遺伝子の変異は、結果としてRAS / RAF / MEK / ERKのシグナル伝達が制御不能となる可能性があり、それにより細胞が無秩序な形で増殖、分裂、および自身を複製する可能性があり、その結果腫瘍増殖を引き起こすと考えられています。セルメチニブはこの情報伝達経路におけるMEK酵素を阻害することで、腫瘍の増殖を抑制できる可能性があります。また、本剤は単剤療法および他の治療薬との併用治療として、他の実施中の試験において検証されています。

神経線維腫症 I型(NF1)について
NF1はNF1遺伝子の自発的あるいは遺伝的変異により発症し、新生児3,000人中約1人が罹患します。本疾患は皮膚上下の柔らかい塊(皮下神経線維腫)、皮膚色素沈着(カフェ・オ・レ斑)および患者さんの20-25%にみられる神経鞘の腫瘍(叢状神経線維腫)を含む多くの症状を伴います。これらの叢状神経線維腫は、疼痛、運動機能障害および変形などの病的状態を引き起こす可能性があります。

NF1患者さんは、学習障害、視覚障害、脊椎の捻転および湾曲、高血圧およびてんかん等の多くの他の合併症を発症する可能性もあります。また、NF1患者さんは、悪性脳腫瘍および末梢神経腫瘍、および白血病を含む他のがんを発症するリスクが増加しています。症状は様々な重症度において幼少期に始まり、平均余命を最長15年短縮する可能性があります3。

アストラゼネカとMSDのがん領域における戦略的提携について
2017年7月、アストラゼネカとメルク・アンド・カンパニー(本社:米国ニュージャージー州ケニルワース、北米以外ではMSD)は、アストラゼネカの世界初のPARP阻害剤であるリムパーザおよび現在開発中であるMEK阻害剤セルメチニブの複数のがん種における共同開発・商業化に関するがん領域における世界的な戦略的提携を発表しました。両社はリムパーザおよびセルメチニブを他の可能性のある新薬との併用療法および単剤療法として共同開発します。また、単独で、各社は各々のPD-L1およびPD-1薬との併用でリムパーザおよびセルメチニブを開発します。

アストラゼネカにおけるオンコロジー領域について
アストラゼネカはオンコロジー領域において歴史的に深い経験を有しており、急速に拡大しつつある患者さんの人生と当社の将来を変革する可能性のある新薬ポートフォリオを保持しています。2014年から2020年までの期間に発売を予定する少なくとも6つの新薬、および低分子・バイオ医薬品の広範な開発パイプラインを有する当社は、肺がん、卵巣がん、乳がんおよび血液がんに焦点を当てたNew Oncologyをアストラゼネカの5つの成長基盤のひとつとして進展させることに注力しています。中核となる成長基盤に加え、当社は、Acerta Pharma社を介した血液学領域への投資に象徴されるような、戦略を加速する革新的な提携および投資についても積極的に追求していきます。

アストラゼネカは、がん免疫治療、腫瘍ドライバー遺伝子と耐性、DNA損傷修復および抗体薬物複合体の4つの科学的基盤を強化し、個別化医療を推し進める併用療法の開発に挑戦し続けることでがん治療のパラダイムを再定義し、将来的にはがんによる死亡をなくすことをビジョンに掲げています。

アストラゼネカについて
アストラゼネカは、サイエンス志向のグローバルなバイオ・医薬品企業であり、主にオンコロジー、循環器・腎・代謝疾患、および呼吸器の3つの重点領域において、医療用医薬品の創薬、開発、製造およびマーケティング・営業活動に従事しています。当社は、100カ国以上で事業を展開しており、その革新的な医薬品は世界中で多くの患者さんに使用されています。詳細についてはhttp://www.astrazeneca.comまたは、ツイッター@AstraZeneca(英語のみ)をフォローしてご覧ください。

References
1. NHS Choices. Neurofibromatosis Type 1. Available at https://www.nhs.uk/conditions/neurofibromatosis-type-1/. Accessed May 2018.
2. Ghalayani P, et al. Neurofibromatosis Type I (von Recklinghausen’s Disease): A Family Case Report and Literature Review. Dent Res J. 2012;9(4): 483–488.
3. Evans DGR, et al. Reduced Life Expectancy Seen in Hereditary Diseases Which Predispose to Early-Onset Tumors. Appl Clin Genet. 2013; 6:53–61.

※画像はイメージです