ALL JAPANの名人花火師が集って立ち上げた日本花火推進協力会(所在地:東京都中央区、代表理事・会長:小勝敏克) は、内閣官房オリンピック・パラリンピック推進本部事務局の委託により、昨年度の引き続き平成30年度オリンピック・パラリンピック基本方針推進調査として「視聴覚障がい者が花火を楽しむための技術や手法を検証することを目的とした試行プロジェクト」を2018年10月13日(土)に秋田県で開催される花火大会、大曲の花火〜秋の章〜「花火劇場〜エバーグリーン」において実施します。
また、花火大会に先立ち7月24日(火)には、視聴覚障がい者の方と花火師による第1回のワークショップを実施。さらに9月15日(土)には第2回ワークショップを実施いたします。
報道関係者各位におかれましては、花火大会本番とともに、是非この9月15日の第2回ワークショップにもお越しいただき、2020年東京オリンピック・パラリンピックに向けて、障がいを持つ方々も健常者と同様に花火大会を楽しむための、一つのアプローチをご取材いただきたけますようお願いいたします。
■試行プロジェクトについて
本企画は内閣府により採択された委託事業として、オリパラへの関心を高め、日本文化の魅力を発信するプロジェクトの中で、各種バリアを克服する取り組みを含むイベントとして、「視聴覚障がい者が花火大会を楽しむための技術や手法を検証すること」を目的として実施するプロジェクトです。

7月と9月に実施するワークショップでの調査を経て、視覚障がい者を対象にした音の変種や変化に富む効果のある花火や、聴覚障がい者を対象にした発光の強弱の表現を増幅させる効果の新しい花火の開発を予定しています。

また、音の波形を振動に変換する“振動型ウェアラブル装置”や音声帯域の明瞭度をアップさせた“難聴者用スピーカー”の導入検討など様々な技術の活用に加えて、会場内に花火の筒や玉の模型を触れるように展示したり、視覚障がい者のための花火朗読劇も検討しています。先天的な視覚障がい者は、色や花火について、その概念がないため、どう表現するかが課題となりますが、ラジオ劇形式で情感豊かに花火大会を表現する脚本を作成し、劇団員に演じてもらう予定です。

■開催概要

【花火大会】
1) 大会名称:大曲の花火~秋の章~「花火劇場~エバーグリーン~」
2) 開催場所:秋田県大仙市大曲雄物川河畔(「大曲の花火」公園内)
3) 実施日時:2018年10月13日(土) 18:00開演
4) 内容:「大曲の花火~秋の章~」にて、約10分のコーナーを設け、当会が独自に開発する「視聴覚障がい者も楽しめる花火」を実施。花火大会には、大曲市、秋田市内の視聴覚障がい者の方々を50名招待し、花火大会を体験していただきます。
※大会詳細は公式サイトをご覧ください。https://www.oomagari-hanabi.com/autumn2018/index.html

【ワークショップ】
1) 開催場所:秋田県大仙市大曲大曲商工会議所内会議室
2) 実施日時:第1回:2018年7月24日(火)実施済み。
       第2回:2018年9月15日(土)実施予定。(取材を受け付けております)

3)目的:花火大会前に、視聴覚障がい者の方々とのワークショップを実施し、花火大会を楽しむためのインタビューを実施。そこで出た要望については、できる限り本番で実現することを目指す。

○ワークショップの内容

【第1回ワークショップ】
花火大会に先立ち、7月24日に大曲商工会議所にて、視覚障がい者5名、聴覚障がい者7名の方をお招きし、当会花火師とのワークショップを開催いたしました。視聴覚障がい者の方々にとって、安心できる会場運営とはどんなことなのか、会場内のユニバーサルデザインなど運営面に関する要望や、どのようにしたら花火を楽しめるのか、などのディスカッションを行いました。

参加された12名の方々は、わたくし達が想像していた以上に、様々な方法で花火を楽しんでおり、それ故に、多くの要望や改善点などの意見をいただけました。

■視覚障がいの方へのインタビューの中では、以下のような発言がありました。

・かつて見えていた頃の記憶をたぐりながら、音や振動を体で感じることで楽しんでいる。
・ 障がいのなかった頃には花火大会に行っていたが、今は家族に迷惑がかかるので、行きたいけれど言い出せない。・ 暗くなると足場が悪いので足下が不安。
・一人でトイレに行くのが難しいので花火大会には行きたいが足が遠のく。
・ 点字のプログラムや花火の形の点図などがあると良い、。
・実況などの解説があると良い。
・ 触ってわかる模型などがあったら良い。

■聴覚覚障がいの方へのインタビューの中では、以下のような発言がありました。

・ 花火の振動を体で感じて楽しんでいる。
・ 家族や友人と一緒に体験することが楽しい。
・ アナウンスがわからないので、字幕などがあるとうれしい。
・ 花火の音が響きすぎて耳や頭が痛くなるので、音を遮断できるものがあると良い。会場で迷子になったりするときに、コミュニケーションが取りにくくて不安になる。

●第1回ワークショップを終えて、参加した会員花火師の感想

響屋大曲煙火株式会社 代表取締役社長 齋藤 健太郎

視聴覚障害の方々も花火を楽しんで頂けていることが、作り手としてすごく嬉しかったです。しかし、現状の花火大会は障がい者にとって、安心して楽しめる花火大会ではない事が、残念で、悔しいという思いでした。

視覚障がい者の方々へは、音声や点字表示など、視覚情報を代替する、聴覚障がい者の方々へは、目で見てわかる方法で情報を提供する心遣いが必要。そして、私たちが製作している花火をより楽しんでもらえるよう、弱視の方には光の強い花火、難聴者には高い音や強い音などで音やリズムを楽しんでもらえる様な花火を開発する予定です。

今回ワークショップに参加して、”視聴覚障がい”とひとくくりにまとめてしがちですが、人それぞれ症状や程度が違うため、一つの花火大会で全ての方々が心から楽しんでもらえる花火を打上げるのは難しいことを痛感しました。そこをひとつひとつクリアして行きたいという思いを強くしました。

【第2回ワークショップ】
9月15日(土)の第2回のワークショップでは、第1回のワークショップにご参加いただいた障がい者の方を再度お招きし、前回に出た様々な要望の実現へ向け、試作花火の検証を予定しています。また、障がいを補完する技術として、以下の装置の事前テストも実施予定です。

1.音の波形を振動に変換する“振動型ウェアラブル装置”
2.音声帯域の明瞭度をアップさせた“難聴者用スピーカー”
3.朗読劇の脚本について、表現方法のヒアリング
  ※花火師、技術メーカー担当者や脚本家なども交えながらのインタビューを実施します。

≪一般社団法人日本花火推進協力会の広報資料≫

以下よりダウンロードいただけます。
https://prtimes.jp/a/?f=d36067-20180813-4309.pdf