株式会社ファンケルはこのたび、フェルラ酸とαGPC、イチョウ葉エキス、ビタミンCを含む食品(以下「フェルラ酸を含む食品」と表記)を継続して摂取することが、軽度認知障害(1)を有する高齢者に対して、認知機能の緩和と 日常の心理・行動に、良い影響を与えることを臨床試験で確認しましたのでお知らせします。
本研究成果は、日本認知症予防学会誌(Vol.8 No.1, 2018(https://ninchishou.jp/index.php?id=52))に掲載されました。
<試験方法と結果>
【方法】 
認知症専門医(2)が軽度認知障害であると判定した65歳以上の68人(男性:25人、女性:43人)を無作為に選び2群に分けました。フェルラ酸を含む食品群、またはフェルラ酸などの成分を含まない食品(以下「プラセボ群」と表記)のいずれかを、各群6カ月間摂取していただき、認知機能検査のMMSE(3)と実感アンケートを行いました。なお本試験を公正に実施するため、先入観や意図的な操作ができない試験方法で実施しました。
【結果】 
摂取6カ月後のMMSE検査の結果、プラセボ群は摂取前に比較して認知機能の低下指標となるMMSEスコアがマイナス0.62点と摂取前より低下したのに対し、フェルラ酸を含む食品群は0.57点上昇したのを確認しました(図1)。特に、65歳以上75歳未満の前期高齢者を対象にした検査では、プラセボ群のMMSEスコアが摂取前よりマイナス0.33点低下したのに対し、フェルラ酸を含む食品群は1.20点上昇し、両群間で明確な差を確認しました(図2)。これにより、フェルラ酸を含む食品を摂取すると認知機能の低下が緩和できることが分かりました。

以上の試験結果から、フェルラ酸を含む食品を継続的に摂取することで、高齢者の認知機能の低下を緩和し、それに伴う日常生活の質の低下に良い影響を与えることが明らかになりました。

<研究背景と今後について>
高齢化の進むわが国において、認知症の予防と改善は健康寿命を延ばすという観点からも重要な課題です。当社は認知症のケアを目的とした研究を8年前から行っています。その中でフェルラ酸が、認知症の発症原因の1つである「リン酸化タウタンパク質」の蓄積を低下させる作用があることを既に発見しています。
今後も、認知障害に関するより効果の高い原料開発やメカニズムの解明といった基礎的な研究を進め、より良い製品開発に取り組んでまいります。

【用語解説】
(1)軽度認知障害:健常と認知症の中間状態。同年代の非軽度認知障害の人と比較して将来的に認知症を発症する確率が高い状態。
(2)認知症専門医:日本認知症学会が認知症診療において十分な経験と知識を有すると認定した医師。
(3)MMSE(Mini Mental State Examination):認知障害の測定を目的とした神経心理テストの1つ。
点数が低いほど認知機能に何らかの障害がある可能性が高いとされる。